October 16, 2024
T86の新制度がスタート、不注意で5000ドルの罰金も!強化された新規制を要チェック。
米国税関・国境警備局(CBP)は最近、T86ポリシーを強化し、2024年10月3日より米国宛てのすべての注文に対し、より詳細な申告が必要となりました。5ドル未満の小額荷物については、違反者に最大5,000ドルの罰金が科されます。これは、T86方式を利用する越境EC事業者にとって新たな課題を引き起こしています。本記事では、T86の基本概念、規制強化の理由、具体的な変更内容、及び事業者の対応策について詳しく解説します。
T86とは?
T86通関、正式名称「Type 86通関」は、米国税関・国境警備局(CBP)が第321条に基づいて2019年に制定した「小額非課税」の電子通関制度です。これは、「1人」当たり1日の輸入合計額が800ドル以下のすべての荷物に関税が免除されるものであり、法人の輸入者も適用対象です。
適用シナリオ:
- 電子商取引の貨物: 衣類や小型電子機器など、オンライン販売向けの低価格商品に適しています。
- 航空小包: ロサンゼルス(LAX)、シカゴ(ORD)、ニューヨーク(JFK)など主要な空港での通関が既に整っています。
T86は合法で利便性が高いため、ほとんどのプラットフォーム売り手が米国への商品販売時に採用する主要な通関方式となっています。
T86 規制強化の背景
T86通関の普及に伴い、この方式を利用する貨物の量は年々増加しています。CBPのデータによると、過去10年間で800ドル以下の免税枠を利用する輸入貨物の件数は、年間約1億4,000万件から10億件以上に急増しました。さらに、2023年にはこれらの輸入貨物の総額が234億ドルに達しました。
急増する免税貨物により、米国は貿易法、健康と安全の要件、知的財産権保護、および消費者権益保護など、複数の面での法執行に課題を抱えるようになりました。そのため、CBPはT86ポリシーを調整し、管理効率を高め、不法な輸入行為を取り締まることを決定しました。
T86 新規制の具体的な変更点
今回の規制変更で、事業者が注意を払う必要がある主な変更点は以下の通りです:
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正確な商品説明: CBPは、曖昧な説明や一般的な表現は許可されなくなりました。例えば、「ギフト」(Gift)、「日用品」(daily necessities)、「アクセサリー」(accessories)、「部品」(parts)などは不適切な説明とされます。
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重要なデータを正確に提供: CBPは、商品の詳細な説明に加え、品名、数量、価値などの情報の申告を求め、不法輸入を防止します。
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2ドルの新手数料: 最低限の手続きを利用する貨物には、2ドルの手数料が課されます。
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小額荷物への高額罰金: 5ドル未満の小額荷物が違反申告とされた場合、CBPは最低5,000ドルの罰金(初回違反の場合)を課し、再犯時には罰金が倍増されます。
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自主放棄期間の短縮: 小額荷物の自主放棄期間が15日に短縮されました。期限内に処理されない貨物はCBPにより廃棄されます。
事業者の対応策
T86の新規制に対応するため、事業者は「正確な申告と事前準備」を戦略として採用する必要があります。品名、数量、価値などの重要データの正確性を確保し、追加の審査や問い合わせに対応できる準備を整えることが重要です。
今回の「小額免税」ポリシーの強化は、これを利用していた越境ECプラットフォームの売り手にとって大きな課題です。事業者はコンプライアンス経営を徹底し、合法かつ競争力のあるビジネスを展開するために、慎重に物流パートナーを選定することが必要です。
YunExpressは、事業者が規制の変化に適応し、ビジネスの成長を実現できるよう、専門的かつコンプライアンスに準拠した物流ソリューションを引き続き提供いたします。
参考リンク: 米国税関・国境警備局