January 6, 2026

🇮🇹 イタリア「低価格輸入小包」新税制の最新動向

― 2026年より非EU発150ユーロ以下の小包に一律2ユーロ課金 ―

2025年12月30日、イタリア議会は2026年度国家予算法案を最終承認し、大統領の署名および官報掲載を経て、

LEGGE 30 dicembre 2025, n. 199 として正式に成立しました。

本法は 2026年1月1日より施行 され、その中には 非EU諸国から輸入される低価格小包に対する新たな費用制度 が含まれています。

本記事では、日本のメーカー・輸出事業者向けに、制度の背景、内容、コスト構造、今後の影響を整理します。

 

何が変わったのか?― イタリアの「2ユーロ小包課金」

新法により、以下の条件に該当する輸入貨物には 1件あたり2ユーロ の費用が発生します。

  • 対象貨物

    非EU諸国からイタリアへ輸入される

    申告価格150ユーロ以下のすべての小包

  • 課金額

    2ユーロ/1配送(per ciascuna spedizione)

  • 課金タイミング

    輸入通関(customs clearance)段階

  • 課金の性質

    関税(customs duty)ではなく、

    税関の行政処理コストを補填するための「行政手数料」

この点について、イタリア政府および主要メディアは

「EUの関税権限に抵触しない行政費用」と説明しています。

(Reuters / Corriere della Sera / DDay.it)

 

なぜ導入されたのか?― 背景と政策目的

● 低価格EC小包の爆発的増加

近年、アジア(特に中国)発の越境ECプラットフォーム

(例:Shein、Temu 等)からの低価格小包が急増し、

  • 税関の処理件数が急増

  • 人員・IT・検査体制などの行政コストが増大

  • EU域内小売業者との競争条件が不均衡

といった問題が顕在化しました。

● 「150ユーロ免税制度」の副作用

EUでは長年、150ユーロ以下の輸入品は関税免除とされてきましたが、

この制度が結果的に「大量・低価格EC輸入」を助長してきたとの批判が強まっています。

イタリアの2ユーロ課金は、

👉 「免税は維持しつつ、行政コストだけは回収する」

という過渡的な対応策と位置付けられています。

 

実はイタリア単独ではない ― EU全体の流れ

この動きは、イタリア単独の政策ではありません。

🇪🇺 EUレベルの新制度(予定)

EUはすでに、

2026年7月1日から、EU域外からの150ユーロ以下のEC小包に対し、

一律3ユーロの関税(暫定措置)を導入する方針
を政治的に合意しています。

つまり将来的には:

  • 🇮🇹 イタリア国内:2ユーロ(行政費)

  • 🇪🇺 EU共通:3ユーロ(関税)

👉 合計最大5ユーロ/1小包のコスト増 が想定されます。

 

「関税ではない」とは言うが…法的・実務的な論点

メディアでは以下の点が議論されています:

  • EUの関税権限は加盟国にないため

    👉 イタリアは「関税」ではなく「行政費用」と定義

  • しかし実質的には

    👉 低価格輸入品に対するコスト上昇=関税的効果

  • 将来的にEU法との整合性が争点になる可能性も指摘

(DDay.it などが批判的に言及)

 

日本の輸出事業者への影響

● ① 小額・単品出荷ほど影響が大きい

2ユーロは定額のため、

  • 商品単価が低いほど

  • 利益率への影響は相対的に大きくなります

特に 単品・直送型(D2C / 越境EC) の場合、

最終販売価格への転嫁が避けられません。

● ② 物流・通関プロセスの見直しが必要

  • 通関時に追加費用の精算が必要

  • 物流業者・通関業者の請求項目が増加

  • 将来的に「まとめ出荷」「EU域内倉庫活用」へのシフトが進む可能性

 

世界的な潮流:低価格免税時代の終焉

この動きはEUに限られません。

  • 🇺🇸 米国:de minimis(少額免税)制度の実質廃止・厳格化

  • 🇪🇺 欧州:150ユーロ免税の段階的見直し

  • 🌍 各国共通:

    「越境EC=低コスト・無制限」という前提が崩れつつある

 

まとめ:2026年以降に向けた実務的示唆

イタリアの2ユーロ課金は、

単なる国内税制変更ではなく、EUおよび世界的な制度転換の一部です。

日本のメーカー・輸出事業者にとって:

  • ✅ 低価格ECモデルの再設計が必要

  • ✅ 物流費・通関費を含めた原価再計算が必須

  • ✅ EU向けは「販売国・配送モデル」戦略が重要

2026年以降、

「安く送れる」よりも「どう設計すれば成立するか」 が問われる時代に入ります。

 

出典

  • Reuters|Italian parliament gives final approval to government’s 2026 budget

  • Corriere della Sera|Tasse sui pacchi: come funzioneranno e chi le pagherà

  • DDay.it|La tassa da 2 euro sui pacchi

  • Euronews|EU to impose €3 duty on small e-commerce parcels from 2026