May 9, 2025
小額免税はまだ使える?新しい越境EC時代が本格始動!
2025年5月2日、米国政府は小額免税制度(T86)の対象から中国本土および香港特別行政区を原産国とするすべての商品を除外し、同時に最大145%の「対等関税(Reciprocal Tariffs)」を導入しました。この制度改定は、日本から出荷される商品にも大きな影響を与える可能性があるため、越境ECを行う事業者にとって、対応が急務となっています。
対等関税導入後、中国からの輸入量が激減
米ロサンゼルス港のデータによると、中国から到着する貨物量は5月に入り50%以上減少、全体として港の取扱量も前年同月比35%減という深刻な状況です。多くの米国企業が中国からの仕入れをキャンセルし、在庫切れや価格高騰が懸念されています。
このような物流の混乱により、中国企業や中国製商品に依存していた小売・プラットフォーム側では、大きな戦略転換が始まっています。
Temu:米国向け中国発送を全面停止
中国系ECプラットフォームTemuは、米国によるT86撤廃と高額関税の影響を受け、2025年5月3日よりすべての中国発米国向け直送を停止。今後は、米国内に在庫を置くローカルセラーによる販売・発送へと完全に切り替えました。
この動きは、以前からTemuが米国市場で行ってきた「低価格・軽規制・高速配送」モデルが限界に達したことを示しており、同社は現在、ヨーロッパや南米市場への注力を強める戦略へと移行しています。
eBay:香港・中国原産商品への制限強化
eBayも大きくポリシーを更新しました。新たな通達によれば、「原産国が中国または香港である商品」については、発送元が日本など他国であっても関税優遇は受けられません。
主要な変更点:
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デミニミス免税撤廃:COO(原産国)が中国または香港の商品の場合、小額免税は適用されず、価格に関わらずすべて関税課税の対象。
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関税の計算方法:商品カテゴリに応じた関税率が課されます(例:中国製掃除機は145%など)。
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正式通関の基準変更:申告価格が2,500ドルを超えるすべての商品(原産地不問)は、正式通関(Formal Entry)として扱われます。
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発送元・原産国の一致義務:eBayでは、商品の原産国(COO)と発送地(Item Location)、および最初のスキャン地点(A-Scan)が一致している必要があります。例:COOがChinaであれば、Item LocationもChinaでなければなりません。
これにより、日本に保管されていても中国・香港製であれば、日本から出荷しても関税免除は受けられません。
商品の原産国に注意:日本製ならT86免税が継続適用
今回の制度変更の中でもっとも重要なのは「原産国(COO)」の概念です。買付・仕入れの際には、**商品がどこで作られたか(製造国)**を厳密に確認しなければなりません。
例えば、日本製の商品であれば、これまで通り800ドル以下であれば米国への関税は免除されます。しかし、同じ価格帯でも、中国製や香港製であれば、日本から発送してもT86免税は適用されず、課税対象になります。
雲途(YunExpress Japan):日本発のT86対応物流
雲途ジャパンでは、日本国内倉庫から直接アメリカに向けた配送サービスを提供しており、原産国が日本、韓国、欧州などの非中国系商品であれば、T86小額免税の恩恵をそのまま享受できます。
豊富な越境物流の経験をもとに、雲途は関税リスクを回避しつつ、安定した輸送ルートを確保しています。商品仕入時の原産地確認、商品明細の正確な申告サポートなども可能です。
T86制度が変わる中でも、「どこで作られたか」「どこから出すか」の組み合わせ次第で、適切な戦略を立てることが可能です。
今回の米国制度変更は、越境ECにとって大きな転換点です。しかし、適切な物流パートナーと情報を持てば、ビジネスチャンスに変えることも可能です。今こそ、原産地管理と物流設計を再点検するタイミングです。
T86の恩恵を最大限活かし、アメリカ市場を引き続き開拓したい方は、ぜひ雲途ジャパンまでご相談ください。