September 9, 2025

ブラジルEC市場:2025年以降の新たなブルーオーシャン

近年、世界のEC市場はますます競争が激化し、欧米やアジア市場は飽和状態に近づいています。多くのブランドやセラーが次の成長市場を探す中で、人口2億1,000万人を超えるブラジルは、業界で「ブルーオーシャン」として注目を集めています。プラットフォーム競争、SNSを活用した新しいECモデル、物流インフラの進化――これらすべてが、この南米大国の潜在力と活力を示しています。

 

3大プラットフォームが主導する市場構造

最新データによると、ブラジルのEC市場規模は800億米ドルを突破し、年間20%以上という高い成長率を維持しています。2025年までにユーザー数は1億2,000万人を超えると予測され、市場はさらに拡大する見込みです。

市場シェアのうち、取引量の約8割は以下の3大プラットフォームに集中しています:

  • メルカド・リブレ(Mercado Libre):ラテンアメリカ発の最大手で、自社物流「Mercado Envios」を持ち、配送スピードとローカル対応に強みがあります。
  • アマゾン・ブラジル(Amazon Brazil):グローバルな供給網とPrime会員制度を武器に、効率的な配送を求める消費者を獲得。さらに2025年末までに800以上の物流拠点を新設すると発表しました。
  • Shopee:低価格戦略とゲーム感覚の購買体験で若年層に急成長。わずか数年でアマゾンを超え、注文数で第2位のプラットフォームとなりました。

一方、Magazine Luiza や Via Varejo など従来のローカルECは急激にトラフィックを失い、市場は国際大手や新興クロスボーダープラットフォームに収斂しつつあります。

 

SNSコマースの爆発的成長

ブラジルの消費者はSNSへの依存度が非常に高く、1日あたり3時間以上をSNSに費やしています。特にTikTokやInstagramの浸透率は群を抜いており、コンテンツECやライブコマースの土壌が整っています。

今年のTikTok Shop ブラジルは最大の驚きでした。ローンチからわずか4か月でGMVは100万米ドルから4,610万米ドルへと急増し、成長率は46倍。中でもビューティー・パーソナルケアカテゴリが21%以上を占め、最も好調でした。TikTokは現地ブランドとの提携、クーポン配布、KOL育成を通じて急速に市場を開拓しました。

さらに、ブラジルには1億1,100万人のTikTokユーザーがおり、1人あたりの平均利用時間は95分に達します。即時決済システム「PIX」や後払い(BNPL)の普及も加わり、購買転換率を一段と高めています。

TikTokだけでなく、Instagramもライブコマースを推進し、WhatsAppは無数の中小セラーにとって欠かせない販路となっています。「短編動画を見る → 注文 → 即時決済」という消費行動は、すでに新たな常識になりつつあります。

 

物流インフラの急速な進化

広大な国土を持つブラジルでは、物流がEC成長の制約とされてきました。しかし近年、その状況は大きく改善しています。

  • アマゾンはすでに160以上の倉庫を運営し、全国配送をカバー。さらに2025年までに800拠点を追加し、配送スピードを強化する計画です。
  • メルカド・リブレは「Mercado Envios」を拡張し、急増する注文に対応する迅速な履行を実現しています。
  • Shopeeはサードパーティ物流と自社倉庫を組み合わせ、低コスト配送を武器にしています。
  • Loggi、Rappiといった新興企業はラストワンマイル配送を担い、国営郵便局(Correios)の弱点を補っています。

これらの投資により、現在では1,300以上の都市で2日以内配送が可能になり、一部の主要都市では当日配送も実現。物流インフラの進化がEC拡大を強力に支えています。

 

なぜブラジルは注目すべきブルーオーシャンなのか

まとめると、ブラジル市場には次の特徴があります:

  1. 人口ボーナス:人口2億1,000万人、若年層比率が高く消費ポテンシャルが大きい。
  2. プラットフォーム集中:3大プラットフォームが市場を支配し、越境セラーに明確な販路を提供。
  3. SNSドリブン:TikTokやInstagramが新たなEC成長の波を牽引。
  4. 物流改善:大手が投資を拡大し、配送体験が年々向上。

これらの要因により、ブラジルは新興市場から成熟競争市場へと進化し、越境セラーに前例のないチャンスをもたらしています。

 

YunExpress(雲途物流)のクロスボーダー優位性

ブラジルや南米市場に参入を目指すセラーにとって、物流の選択は非常に重要です。YunExpress(雲途物流)はすでにブラジルおよび南米各国向けに安定したクロスボーダー小包・専用ラインサービスを展開。B2CからB2Bまで対応し、通関・税務コンプライアンスからラストマイル配送まで、ワンストップでサポートします。

独自ネットワークと現地パートナーを組み合わせることで、コスト削減、配送時間の短縮、そして不透明な規制によるリスク低減を実現。有望なブラジル市場への第一歩を力強く後押しします。

 

結論

ブラジルは今、世界で最も成長ポテンシャルを秘めたEC市場のひとつです。プラットフォーム、SNS、物流の三位一体の進化により、このブルーオーシャンはますます広がっています。越境セラーにとって、早期の戦略的展開と信頼できる物流パートナーの確保が、市場での成功を左右するでしょう。