March 26, 2025
トランプ再登場で関税大変動?“自由解放日”が越境ECに与える影響とは
2025年4月2日、トランプ米大統領による関税新政策「自由解放日(Liberation Day)」が実施される予定です。今回の政策は、過去最大規模とされており、世界中の貿易や越境ECに大きな影響を及ぼすとみられています。新たな関税は主に2種類に分類されます。1つ目は「対等関税(Reciprocal Tariff)」で、アメリカが相手国から受けている関税と同等の税率を課す仕組みです。2つ目は「附加関税(Secondary Tariff)」で、政治的・経済的な理由に基づき、特定の国や商品に追加の関税が課されます。この動きにより、アジア圏の輸出企業や越境セラーにとっては、コストや物流体制の見直しが急務となっています。国際市場での競争力を維持するためにも、早めの対応が求められます。
一、新たに発表された関税の種類と内容
トランプ政権は、貿易赤字が大きく、関税のバランスが取れていないと見なす国々に対して、「対等関税(Reciprocal Tariff)」の導入を発表しました。対象とされる約15か国は通称「Dirty 15」と呼ばれており、アメリカの貿易相手国のおよそ15%を占めます。さらに、トランプ大統領は4月2日より、ベネズエラからエネルギー資源(石油・天然ガス)を輸入するすべての国に対して、25%の附加関税を課すことも発表。世界経済とエネルギー市場に波紋が広がっています。
二、地域別の影響分析
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中国本土・香港
中国は今回の関税政策の主要ターゲットとされており、第1期政権で導入された10%の関税に加え、**さらに約20%の上乗せが予定されており、合計で約30%**となります。これに対し中国は、アメリカ産の農産物に対して15%の報復関税を即座に発表しました。香港についても、アメリカが「中国の一部」と見なしているため、実質的に中国と同様の関税対象とされています。 -
日本
日本は現時点で「Dirty 15」には含まれていないものの、自動車産業が標的となるリスクがあるとされています。トランプ政権は、日本からの自動車輸入に対して25%の関税を検討しており、日本政府は懸念を強めつつ、交渉による回避を模索しています。 -
台湾
台湾においては、半導体・半導体装置がアメリカ側からの関税対象となる可能性が高いと見られています。台湾のアメリカ向け輸出は貿易黒字が大きく、特に半導体分野が顕著です。一方で、完成車の輸出量が少ないため、自動車関連の影響は限定的です。 -
その他地域
カナダとメキシコはすでに鉄鋼・アルミ製品に対する25%の関税の影響を受けています。EUはこれに対し、アメリカ製ウイスキーなどに最大50%の報復関税を導入。韓国や東南アジア諸国は関税回避のため、アメリカ国内への積極的な投資を進めています。
三、越境ECセラーにとっての課題と対策
今回の関税政策は、越境ECセラーへの影響が特に大きいとされています。中でも、中国本土・香港に拠点を置くセラーにとっては、コスト面でのインパクトが顕著です。現在eBayやAmazonで利用されている「T86簡易通関制度」に関して、現時点では変更の発表はありませんが、業界では制度の廃止または縮小は時間の問題との見方が強く、セラーには事前の備えが求められます。また、他地域のセラーにおいても、今後「対等関税」が導入された場合、従来の価格競争力が薄れ、販売戦略の見直しが必要になる可能性があります。さらに、製造や物流の多くが中国・香港に集中している企業は、たとえ非中資企業であっても、供給網の所在によって関税の影響を受けるリスクがあります。このため、サプライチェーンの分散や再構築も視野に入れた対応が急務です。
四、メディアと市場の反応
主要な国際メディアは、今回の政策に対して懐疑的あるいは批判的な論調を示しており、「実質的にはアメリカ国民への消費税導入に等しい」といった指摘も出ています。PwCの試算によると、世界の消費財市場では最大1,340億ドルの損失が生じる可能性があるとされており、インフレの加速や消費低迷も懸念されています。トランプ政権内部でも意見は分かれており、この政策を交渉の圧力手段と見る声もある一方で、関税が長期化すれば市場の混乱や国際摩擦の激化につながるリスクも高まっています。
4月2日の「自由解放日」が迫るなか、世界中の企業と越境ECセラーは今こそ戦略の再検討が必要です。新たな貿易環境のもとで機会を掴むには、情報収集、コスト管理、供給体制の見直しなど、多角的な視点での対応が求められます。
国際ビジネスの変化を正しく捉え、柔軟かつスピーディに対応することが、これからの成長のカギとなるでしょう。