July 30, 2025
【2025年の国際配送に大変革】FedEx・DHL・UPSの新ルールでどう変わる?EC事業者が今すぐ取るべき対策とは
2025年、FedEx・DHL・UPSという世界三大エクスプレス業者が相次いで運賃体系や配送ネットワークの見直しを実施します。サイズ課金ルールの変更や追加料金の引き上げ、さらに拠点統合・人員削減など、これらの大規模な変化は、日本から海外に出荷するEC事業者にとって大きなインパクトとなります。
本記事では、最新のルール変更の内容とその影響、そして日本の事業者が取るべき現実的な対応策を分かりやすく解説します。
容積重量の繰上げ計算で、運賃が大幅増に?
2025年8月より、FedExは容積重量(Dimensional Weight)の計算方法を改定し、縦・横・高さの寸法をすべて「1インチ単位で繰り上げ」て計算する新ルールを導入しました。たとえば、12.1インチは13インチとして扱われ、従来よりも容積重量が重く計算されることになります。
さらに、「サイズ追加料金(Additional Handling Surcharge)」が適用された荷物は、最低40ポンド分の料金が課金される新ルールも追加。実重量が10ポンド程度であっても、条件に該当すれば40ポンドとして請求されます。
UPSも同様に、2025年8月からは長辺の制限ではなく「三辺の合計サイズ」で超過を判定するように変更。これにより、これまで対象外だった中型の荷物も、超過扱いになる可能性が高まりました。
実例:
9.6″ x 13.2″ x 17.1″(2,170 in³)の荷物が、10″ x 14″ x 18″(2,520 in³)として計算されることで、容積重量が15.6ポンド → 18.1ポンドに増加。さらに繰り上げで19ポンドとして請求される場合もあり、該当サイズ次第では追加で20~30ドルの料金が発生することも。
⇒ トータルで25~40%のコスト増となるケースも出ています。
つまり、「ぎりぎりセーフ」だった梱包サイズがルール変更で逆に「アウト」になり、コストを押し上げる結果となっているのです。
拠点の統廃合・人員削減も進行中
FedExは全米の配送施設の約30%を閉鎖し、Express(国際便)とGround(国内便)のネットワークを統合する「Network 2.0」を進行中です。これにより重複作業の削減と車両稼働効率の最大化が狙われています。
DHLもドイツ国内で約8,000人の人員削減を実施。UPSは人件費の増加を受けて、繁忙期の臨時雇用の削減や配送ルートの最適化を進めています。
これらの動きは、配送キャパシティの制限や、追加コストの価格転嫁につながる可能性があり、日本のEC事業者にとっても無視できません。
日本のEC事業者が今すぐ取るべき3つの対策
- ① 梱包サイズと形状の見直し
外装サイズを見直し、「1インチ繰上げ」による影響を最小限に。最長辺18インチ以内、三辺合計が規定以下になるような梱包規格の見直しが必要です。 - ② 運賃表とシステム設定のアップデート
使用中の出荷管理システム(WMS)やカート連携の運賃設定が、最新の計算方式・附加料金ルールに対応しているか確認を。誤差が発生すれば、利益を簡単に食い潰しかねません。 - ③ 複数キャリアのハイブリッド活用
FedExやUPSに加え、地域別でDHLや他の国際配送キャリア、あるいは郵便系サービスを柔軟に使い分ける仕組みを構築しましょう。条件によってキャリアを切り替えられる仕組みが有効です。
自動化・デジタル対応・API連携が今後の標準に
FedExやUPSは、自動仕分け設備、AIによるルート最適化、デジタルツイン(仮想物流ネットワーク)などの投資を強化しています。
UPSの「ORION」は毎日6〜8マイルの走行距離を削減。FedExはリアルタイムシミュレーションで配送遅延やボトルネックを事前に予測しています。
こうした変化に対応するためにも、API連携やリアルタイム配送情報取得が可能な物流パートナーを選ぶことが鍵になります。
まとめ:2025年は「1インチ」が利益を左右する時代に
2025年以降、国際配送においては「梱包サイズ・体積・追加料金」がこれまで以上に重要なコスト要素になります。EC事業者としては:
- 製品ごとに最適な梱包方法を再設計し、
- 配送費の構造とリスクを正確に把握し、
- 柔軟かつ効率的な配送ネットワークを構築する
ことで、競争力を維持しながら安定した海外展開が可能になります。コスト上昇の波を「機会」と捉え、よりスマートな物流戦略への転換を進めましょう。
参考リンク
- FedEx DIM Weight Rule Change Starts August 18, 3PL Center
- FedEx Adjust Dimensional Weight Policy – August 2025, ebb Logistics
- UPS: Rate and Service Guide 2025
- DHL Group 2025 Investor Outlook Report
- Reveel: 2025 Parcel Shipping Rate Impact Report
- FreightWaves: Trade war’s toll mounts as logistics players face layoffs