August 29, 2025

複数国が米国への小包発送を一時停止:停止リスト・期間・理由の解説。サービスは再開されるのか?

ここ1週間、世界各国の郵便局や宅配事業者が相次いで「米国向け貨物郵便の停止または大幅制限」を発表しました。この動きの背景には、米国政府が大統領令により低額貨物(いわゆる de minimis)免税制度を全面的に廃止し、国際郵便ネットワーク経由で米国に送られる荷物については、運送業者または認可された第三者が事前に関税を徴収し、一括納付することを義務付けたことがあります。新制度の導入準備期間が極めて短く、技術的・制度的な対応が整わなかったため、多くの国が短期的に「発送停止」を決断し、リスク回避に動いたのです。

 

なぜ突然発送が止まったのか? 米国新制度を理解する

  • 政策のポイント:米国は2025年7月30日に大統領令を発表し、8月29日から800ドル以下の商業小包の免税を全面廃止。
  • 非郵便(宅配便/一般商業通関)ルート:一律課税、正式申告が必須。
  • 国際郵便ネットワーク:移行期は運送業者または認可第三者が関税を代収・納付。「原産国の関税率に基づく従価税」または「1件あたり80〜200ドルの定額税」のいずれかを適用(2026年2月28日以降は従価税のみ)。
  • 贈答品(bona fide gift)100ドル以下および純粋な書類は非課税

実務上、郵便システムは「発送時の税金徴収と月次納付」の仕組みを短期間で構築する必要があり、各国は誤送や滞留、罰則リスクを避けるため一時的に発送を停止しました。

 

発送停止を発表した国・地域

ヨーロッパ

  • ドイツ(Deutsche Post / DHL Parcel Germany):8月22日より商業顧客の米国向け貨物郵便を停止。DHL Expressは継続。
  • 北欧(PostNord:デンマーク、スウェーデン;Bring/Posten:ノルウェー):多くの米国向け小包サービスを一時停止。
  • ベルギー(bpost):米国向け貨物郵便を停止。
  • フランス(La Poste):米国向けサービス制限を告知。
  • イギリス(Royal Mail):新関税制度の影響でサービスを制限・停止。

アジア太平洋

  • 香港(香港郵政):5月よりすでに米国宛て小包の受付を停止。
  • 日本(日本郵便):8月27日から小包・荷物・EMS(貨物)を停止。100ドル以下の贈答品と書類は継続。
  • 韓国(Korea Post):航空小包・EMS(書類除く)を停止。
  • シンガポール(SingPost):多くの米国向け小包を停止、書類と一部贈答品は継続。
  • オーストラリア(Australia Post):8月26日から多くの米国向け小包を停止、書類と低額贈答品は継続。
  • 台湾(中華郵政):8月26日から多くの米国向け小包を停止、書類は継続。

南アジア

  • インド(India Post):8月25日から大部分の米国宛て郵便を停止(書類・100ドル以下贈答品は除外)。

世界的な動き

UPU(万国郵便連合)は少なくとも25か国が米国向け貨物郵便の停止を通報したと発表。新制度導入直前の技術的不確実性が主因とされています。

 

停止の開始時期と再開の見通し

多くの国は8月22日〜27日にかけて発送停止を発表・実施し、8月29日の新制度発効前に不確実性を回避しました。

再開時期は未定で、「一時停止、追って通知」とする国が大半。代収代納のシステム整備が必要で、数週間〜数か月かかる見込みです。

 

米国政府の対応

  • ホワイトハウス/大統領令:8月29日より小額免税を廃止。移行期は代収代納を義務化。
  • CBP(米国税関・国境警備局)FAQ:郵便と非郵便の扱い、課税方式、例外規定を説明。
  • UPUの立場:米国と協力し、加盟国のシステム整備を支援。

 

商社・販売者の反応

  • 中小EC事業者:出荷不能、関税コスト増、システム改修コストを懸念。
  • 欧州業者:発送延期、他国市場への切替、宅配便ルート利用など暫定対応を実施。

 

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