August 6, 2025

米国関税新政策:T86制度の終焉カウントダウン、相互関税は確定へ──新制度下の越境EC新たな試練

2025年8月29日より、アメリカは全世界に対する「de minimis 少額免税枠(T86電子通関)」の制度を正式に終了します。これは、すべての越境EC事業者に大きな影響を与える通関制度の大変革です。今後、アメリカ向けの800米ドル以下の小包であっても、すべて関税が課され、正式な申告が必要となります

これは中国のECセラーだけでなく、アジア太平洋地域全体の輸出業者、物流事業者、販売プラットフォームにとっても試練となります

📌 アメリカ通関政策の主な変更タイムライン

  • 2016年:オバマ政権下でde minimis免税枠が200米ドルから800米ドルに引き上げられる
  • 2019年9月28日:CBP(米国税関)がT86電子通関制度を導入、manifestを使った一括通関を許可
  • 2025年4月2日:韓国、タイ、ベトナム、カンボジアからの輸入品に対して相互関税(25~49%)を発表
  • 2025年7月:相互関税が調整され、それぞれ15%、19%、20%、19%に引き下げられる
  • 2025年8月29日T86制度の完全廃止、すべての小包に対して関税課税+T11/T01での通関が必須に

❗ なぜアメリカは免税制度を廃止するのか?

  1. 税収の減少:中国製品の低申告や分割出荷により税基盤が侵食
  2. 国内産業の打撃:現地製品より遥かに安価な中国商品が流入し、小売・製造業に影響
  3. 通関業務の逼迫:小型荷物の爆発的増加により税関の処理が追いつかない
  4. 地政学的な圧力:中国を牽制するための戦略的通商政策の一環

📦 通関方式のビフォー&アフター比較

項目 以前(T86、郵便通関) 現在(T11 / T01)
免税対象 ✅ 800米ドル以下は免税 ❌ すべて課税対象
通関方式 簡易通関、書類少なめ、通関手数料なし 正式通関、書類必要、MPFなど手数料発生
税率構成 関税なし または基礎税のみ 基礎関税 + 相互関税 + 特別税
検査リスク 低い 高い(特に中国・香港発)
コスト構成 送料のみ 関税 + MPF + 通関費用

🌏 各国からアメリカへの関税は?ひと目で分かる一覧表

地域 関税の計算式 想定される総税率
中国(香港含む) MFN税率 + フェンタニル税(20%)+ 相互関税(約34%) 約57–58%
台湾 MFN税率 + 相互関税(20%想定) 約23–24%
韓国 MFN税率 + 相互関税(15%) 約18–19%
タイ MFN税率 + 相互関税(19%) 約22–23%
ベトナム MFN税率 + 相互関税(20%)※中国経由と疑われる場合は43% 約23–43%
カンボジア MFN税率 + 相互関税(19%)※未交渉時は最大36% 約22–39%

📍 備考: MFN(最恵国)税率は一般的に3–4%程度。実際の税率は商品カテゴリーおよび原産地によって異なります。

📌 ⚠️ 一部政策は未確定、T86廃止は確定済みだが税率・郵便通関は調整中

2025年8月29日のT86制度の終了は確定されていますが、相互関税の税率は現在のところ暫定であり、今後90日以内に各国間での交渉により変更される可能性があります。

また、引き続き郵便通関(Postal Clearance)を使うケースについても、米国税関(CBP)は一定の免税措置を残す意向を示していますが、実際の運用はまだ不透明です。例えば:

  • 「従価課税(商品価格 × 税率)」で統一されるのか?
  • あるいは「従量課税(税率に応じて1件あたり固定額)」になるのか?
    • 税率16%未満:1件80米ドル
    • 税率16~25%:1件160米ドル
    • 税率25%以上:1件200米ドル

このように制度の詳細が定まっていないため、郵便通関=確実に免税という保証はありません。今後の課税リスクや追加費用を回避するためにも、T11やT01などの正式申告方式への移行が推奨されます

⚠️ セラーが今すぐできる3つの対策

  • T86通関の前提で出荷を続けない。罰金・検査のリスクあり
  • 商品ごとの利益率と新たな通関コストを見直す
  • T11・T01通関の実績がある信頼できる物流パートナーを選ぶ

🛠️ YunExpress(雲途物流香港)の対応方針

雲途物流香港では、以下の2つの通関方式を中心に、2025年の税制変更後も安定した米国通関をサポートします:

  • T11(簡易申告): 2500ドル以下の非規制品向け。書類が少なく通関も迅速
  • T01(正式申告): 高額商品やFDA・EPA管理品など。通関書類が必須
通関方式 必要書類
T11 マニフェスト(MAWB)、パッキングリスト
T01 インボイス(AWB)、商業インボイス、パッキングリスト、IOR番号、EIN番号

✅ 世界中どこからでも、YunExpressのG2G(グローバル to グローバル)物流ソリューションを活用すれば、合規・迅速・競争力のある輸送が可能です。出荷戦略の見直しをお考えの方は、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。